ペリリュー 楽園のゲルニカ

Takeman

2019年01月31日 15:41

これほどまでにも早く終わってほしいと思う漫画は初めてだ。
いや漫画だけではなく、小説も含めて、終わらせてほしいと思ったことは今まで一度もない。
これは、つまらないとかくだらないから終わって欲しいという意味ではない。
太平洋戦争に関しては昔からいろいろと本を読んできた。南方諸島での戦争というのもその中で多少なりともどういうものだったのかということは知っていたつもりだったが、詳しくは知らなかった。特にペリリュー島に関しては知らないも同然で、それを思うと、知っていたとか読んだことがあったというのもおこがましいほどの知識しか持ち合わせていなかったと反省するべきなのだろう。
三等身のかわいらしいキャラクタでもって描かれるこの漫画はペリリュー島での戦いを描いたもので、絵柄と主人公の性格のおかげで非常に読みやすく、うっかりしているとほのぼのとしてしまうのだが、主人公がおかれた境遇はほのぼのからは正反対で、悲惨な現実である。
数十人単位で人は死んでいき、圧倒的な戦力でもって上陸したアメリカ軍でさえも同様に殺されていく。
冷静に考えれば勝ち目のない戦いで、戦い続ければ死ぬしかなく、死んだところで大局が大きく変わるわけでもないのだが、そんなことは一兵士卒の身分では知るわけもなく、かといって指揮官たちでさえも、勝ち目はないことを自覚しているし、最終的には玉砕するしかないと考えていながらも、大本営からの指令は持久戦を行えという状況は地獄でしかない。
最終的に、指令を無視するかたちで玉砕を意味する「サクラ」を報告して玉砕していくのだ。
主人公たちにはやく安堵をあたえて欲しい。そんな思いで早く終わって欲しいと思ってしまう。


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